chocoxinaのover140

良く言えばコラム

ギガヘボコンに出てきた話

 
このところ不運続きだ。
 
カバンは盗まれるしiPhone6は壊すし女の子には振られるし友人との約束は二連続ですっぽかされるし予定していた引っ越しは先方都合で三カ月遅れて最終的に反故になるしでまるでいいことがない。
 
こんなに不幸が続くなら、もう幸も不幸も何もわからない阿呆になりたい、と思っていたら、ちょうど知る限りトップクラスに阿呆なイベントが参加者を募集していたので出場してきた。ヘボが集まってロボット相撲をするイベントだ。
 
ヘボコンとは
題にあるギガヘボコン、昨年秋ごろから何度か開催されている「ヘボコン」の仲間なのだが、そのヘボコンとは何か、というのは僕が説明するよりもこの動画を見てもらった方が早い。


技術力の低い人 限定ロボコン(通称:ヘボコン) 紹介動画 【第18回文化庁メディア芸術祭 エンタ ...

要は「技術力の低い人限定ロボコン」であり「その場ではヘボさこそが正義」であり「妥協と諦め」がモノをいい「ヘボを誇り、それを容認する空気が満ちている」あたたかなイベントである。僕のような無能にとってはさながら東京砂漠に見つけたオアシスだ。
 
かねてからぜひ出たいと思っていたヘボコン、twitterで開催告知を見つけ、先着順だったそれに一も二もなく申し込んだのが三月末ごろ。ほどなく当選を知らせるメールが来て、chocoxinaのロボット作りが始まった。
 
よしやるぞ、やるからには勝つぞ、阿呆になることに打ち込んで嫌なことを忘れるぞ。結論から言えばこの二つの目標はどちらも達せられなかった。
 
敗者のゲーム
さて、勝つぞ、と目標をかかげてはみたが、一体何をどうしたものか。今回のヘボコンはギガヘボコン。[http://portal.nifty.com/kiji/150322193037_1.htm:title] 全長100cm、高さ50cmの大型ロボット(開催直前の主催石川さんの言葉を借りれば「大味な塊」)を作る必要がある上、なんとパイロット搭乗可だ。
 
パイロットが乗らないより乗った方が馬力があるに決まっているがchocoxinaにはそのための丈夫さやトルクのあるものを買う財力はない。なんたって先日財布もろとも鞄を盗まれている。
・・・いきなり嫌なことを思い出したが、ともかくもこういうときは先人の知恵を借りる必要がある。今回はチャールズ氏を仰ごう。
 
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個人投資家に最も読まれている指南書の著者であるところのチャールズ・エリス氏によれば、例えばテニスの試合は二種類に分けられるという。プロが互いの技術で「勝ちとった」ポイントで勝負が決まる「勝者のゲーム」と、アマチュアがミスを犯して「失った」ポイントで勝負が決まる「敗者のゲーム」だ。(なおこのへんの話はほぼ全部ライフハッカーの記事「敗者のゲーム」を避ける知恵:賢く立ち回ろうとするより愚かな行いを避けるべし | ライフハッカー[日本版]の受け売りです)
 
勝者のゲームと敗者のゲームでは取るべき戦略が決定的に異なるといい、またヘボコンは言うまでもなく敗者のゲームだ。チャールズ氏によれば、敗者のゲームに勝つには、どんな戦略よりも「ミスを少なくすること」を重視すべきだという。
 
なるほど、ミスを少なくする。ここでchocoxinaはほぼ勝利を確信した。
 
そうだ、人が乗るロボットだって勝手に自壊したり、コントロールを失って場外に出るかもしれない。堅実に動くロボットを作れば勝機があるぞ。
 
成果物
そんなわけで、完成したロボットをご覧いただきたい。
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 ・・・なんだろう。「堅実に動く」かどうかもあやしい、チャールズ氏に訴えられそうな大味な塊ができてしまった。
 
とりあえず、この画像を見ながら各所の工夫(したんですよ、工夫)とか妥協とかについて説明させてください。
 
まず動力はワイルドミニ四駆を二台並べている。これは一般的なミニ四駆と違いオフロードカー的なものをモチーフにしたラインで、同じ規格のモーターを使っている一般的なミニ四駆と比べスピードがかなり遅い。
 
スピードが遅いということはその分の力がトルク(動きの力強さ)にまわっているということであり、事実ワイルドミニ四駆は単体で40度の坂を登ったりできるそうだ。そもそもスピードが遅ければ暴発して勝手に場外に出ることも少ないため、ヘボコンに使うなら普通のミニ四駆より断然こちらが適格だといえる。
 
また、動力にミニ四駆を使う場合、通常であれば左右への旋回は諦めなければならないが、その点については(画像ではわかりにくいものの)それぞれのミニ四駆の辺りに手綱をつけることで解決した。曲がりたい方の手綱を引っ張って強引に旋回させる仕組みだ。ありもしない技術で無理にステアリングを実装するよりよほどチャールズ的だといえよう。あときっとチャールズはこんな言い訳のために本を書いたのではないと思う。
 
そもそも動力とステアリングについては、どこかでラジコンを買ってきてそのまま使うつもりだったのだが、某ディスカウントストアで買ったラジコンがどうにも不良品で、10秒も動かすと集積回路が熱をもってコントロールを受け付けなくなってしまう代物だったので泣く泣く捨てた経緯がある。
 
いや、本当に不良品だったのだ。電源から並列で出てた電飾の回路を手でちぎるまでは普通に動いてたけど。
 
100歩譲って不良品でなかったにしても、壊したのではなく壊れたのだ。あの夜、ガードレールに座って弄っていたら自転車に跳ね飛ばされた僕のiPhoneとおなじ、不幸な事故だったのだ。・・・なんだか、不幸を忘れる為に参加したヘボコンに、その不幸を思い出させられ続けている気がする。
 
設定にこだわる
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別アングル。

 
本体にあたる丸い部分はバランスボールでできている。レギュレーションを満たして順当に動くロボットを作るだけならば動力に段ボールでも被せておけばいいものを、なぜ余計に1000円出してバランスボールなど買ったかといえば、ひとえに設定のためである。
 
さすがに、観客もニコ生の視聴者もいるイベントで「相手のミスを待って勝ちます」ではあまりにも寒すぎる。そこで「攻撃ではなく防御にこだわった」と言い張ることで、設定だけはやたらと凝りがちなヘボコンらしさを出そうとしたのだ。
 
設定にこだわるという意味では、前面に貼ってあるアルミホイルは「鏡面仕上げで相手のレーザー攻撃を跳ね返す」という設定、頭についている消臭スプレーは「細菌兵器を打ち消す」という設定を設け、防御へのこだわりを強調するために付けてある。あまりにも露骨にウケ狙いっぽくなってしまったので(ウケ狙いなんだけど)本番で説明するときにひやひやしました。
 
こんな感じで一通り組み立てていたのだが、最後にバランスボールを動力部(金網にミニ四駆を縛り付けたもの)に乗せる段階になって「バランスボールを土台から微妙にはみ出させておけば、相手の攻撃を受けてたわんだ時にブレーキになり、より防御力が増すのでは?」と考えて、そのような改造を加えた。おざなりに考えた設定に本人がまんまと飲まれている。
 
そんな感じでどうにか前日夜にロボットを作り上げ、いよいよ本番となります。
 
後ろの棒? あれはサイズ稼ぎ。
 
名前
ところで、このロボットの名前をまだ紹介していなかった。「機能美」という。「機能の美しさ」と書いて「機能美」だ。皆さんの仰りたいことはよぉく分かるが、これについても言い訳させてほしい。
 
先のロボット、勝利にこだわるあまり(あれでもこだわっている)、見た目やそのコンセプトにまったく気を回していなかったので、事前アンケートでロボット名を書く必要が出てきたときに「見た目にこだわっていないということは、必要な機能がむき出しになっている→これは機能美に満ちていると言えるのでは?」という発想で咄嗟に付けたのだ。
 
しかし、考えてみてほしい。そんじょそこらのロボコンとは違い、ヘボコンに求められているのは「ヘボさ」である。余計な装飾で誤魔化すことなく(リセッシュは飾りではなく機能!)ヘボが全面に押し出されたあのロボットは、ヘボコン的機能美を追求しているといえないだろうか?
 
chocoxinaはそう言えると考えた(自分を騙した)ので、完成したロボットに機能美を象徴するマークを付けた。
 
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機能美といえば林檎のマークだ。なぜかはわからないが。
 
当日
そして本番である。
 
会場全体の様子や個々のおもしろロボットについては、近くデイリーポータルZに掲載されるであろう公式レポート記事を待つとして、ここではchocoxina視点での記録に留めたい。
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「どうもー参加者登録してたchocoxinaと申します」「チョコザイナ!? ヤバイっすね!」「あ、はぁい」みたいなやりとりを経て会場入りし、自前の「機能美」を組み立てていると、どうも周りには友人同士やサークルでの和気あいあいとした参加が目立つ。身一つ(と大味な塊)で参加していた自分は心細さに身構えてしまった。
そういえば、最近友人にも女性にもそっぽを向かれたばかりだなあ・・・といらぬことを思い出し、前が見えなくなりながらも組み立てを終える。
ひと段落ついたところで辺りを見回してみると
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なんだろうこのゴミの山は。
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(そして当てつけのように近くに設けられた技術力の高いロボットたちのブースは)
 
ちなみに一枚目の写真、手前の何かが入ってそうな段ボールとか、奥にある誰かの洗濯物とか、画面内にあるものほぼ全てロボットである。
まずいぞ、僕の機能美が完全にインパクト負けして埋もれてしまう。僕だって少しはフィーチャーされたいのだ。
と、ここで焦ったchocoxinaが三時間しか寝てない頭を働かせて回避策を考えた結果、ロボット紹介や試合前などの喋れるタイミングで露骨にウケを取りにいくという失策を取るわけだが、その醜態については各自ニコ生のタイムシフト(プレミアム会員なら今からでも視聴できるみたいです)や、近くデイリーポータルZのレポートに合わせてアップされるであろう公式動画などをご覧いただきたい。

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端的にこうなりました

 
試合の様子
気を取り直して一回戦。相手は「白いのスーパーレジェーラ」

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 某ベイがマックスなあいつ的な見た目と、操縦者の肺に依存する空気圧パンチ機構を備えたロボットである。ビームも撃ってこないし細菌兵器も使ってこない。試合の行方はあの空気圧パンチをいかに吸収できるかにかかっている。(そしてchocoxinaは完全に設定に飲まれている)
 
試合はじめ!

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機能美が動かない!

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危ない!

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でも押し返して・・・

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勝った!!!
 
なんと普通に相撲で勝ってしまった。
相手を押し返したときの「おおー!」という歓声が普通に嬉しかったです。
 
第2試合
続いての相手は「ねこ」

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人が乗ってるでかい箱である。
完全に馬力で負けているが、相手は視界が狭く、うまく操縦すれば後ろから押してしまえるかも知れないし、何よりも猫なのでリセッシュに弱いはずだ。勝機はあるぞ。
 
試合はじめ!

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機能美が動かない!

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動かない!

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食らえ、リセッシュ!

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時間切れ、判定負け!
 
全く動けずに負けてしまった。
 
反省
敗因は、動力のワイルドミニ四駆が、前に出すぎたバランスボールの摩擦につんのめってしまったことだった。前日夜に「防御力アップ!」とか言って余計な改造を加えたのが完全に裏目に出た。設定に飲まれ、チャールズ・エリス氏の教えを蔑ろにしたために、敗者のゲームを演じてしまったのだ。
 
「そのくらい動作テストをしていなかったのか」というお声があるのも尤もだ。ただ僕は現在、引っ越しに失敗した影響で祖父母の家に転がり込んでいる。家主の寝静まった深夜、こんなわけのわからない塊を動かして大きな音を立てるわけに行かなかったのだ。
引っ越しのとき、予定までに部屋を明け渡さなかった大家や、僕の焦りにつけ込んで契約直前におかしな費用をふっかけてきた不動産屋、どちらか片方でもいなければ・・・
 
と、気を取り直して、勝利した第1試合に目を向けてみると、序盤全く動かなかった機体が、敵機の腕によってバランスボールを押し上げられた結果動き出していたのに気づいた。ヘボが生んだ逆転劇だったのである。
戦績は二回戦敗退、審査員賞も得られず、他の様々なロボットの影に埋もれてしまった「機能美」だが、あの小さな一勝は確かに僕の胸に刻まれた。
 
気は晴れた
本来は嫌なことを忘れる為に参加した筈のギガヘボコン、途中様々なフラッシュバックが生じてその目的は果たせなかったが、本気で馬鹿をやった結果多少気が晴れた。次があればもっと本気で阿呆になってみたい。
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さよなら、ゴミ達。