読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

創作ロールプレイングポエム:「あのひと」のご紹介

ロールプレイングポエムについては、こちらを参照して下さい
chocoxinaの理解では、ロールプレイングポエムとは「ルールにポエジーのあるごっこ遊び」なんじゃねえかなと思っています。

ロールプレイングポエム:「あのひと」

1.イントロダクション

学校の同窓会で十数年ぶり集まった仲のよい5人前後のプレイヤー達。
思い出話をするうち、話題は今日来なかった「あのひと」のことに移る。

2.導入

まず君たちは「あのひと」の名前を思い出そうとするが、どういうわけか皆思い出せない。
プレイヤーは、名前を思い出す手がかりに、各自思い思いに「あのひと」の性別や外見、口癖などの表面的な特徴を共有する。
ひととおり共有が済んだと判断されたとき、 プレイヤーの誰かが「誰も思い出せないの?」と言って、
「あのひと」と特に仲が良かったプレイヤーを適当に一人指定してからかう。
指摘されたプレイヤーが「そうなんだけど・・・」と言って考え込むと、
テーブルに料理が運ばれてくるなどして話が中断される。

2.準備

プレイヤーは、当時の「あのひと」との具体的なエピソードを、メモ用紙一枚につき一つ、3枚分書く。
(枚数は人数に応じて適当に調整する。またこのとき、メモの端にあなたの名前を書いておく)

「あのひと」は、君に借りた一万円を未だに返していないようなずぼらだっただろうか。
毎日のように君とお決まりの場所で遊んでいただろうか。
君が未だに覚えているような、面白いジョークを言っただろうか。
君たちの間で起きた大きな事件のとき、その中心にいただろうか。
家庭の事情について、君にだけ話してくれたことがあったろうか。
あるいは、君と恋仲で、クリスマスには特別な場所でデートをしただろうか。
もしくは、君は「あのひと」に手ひどいいじめを受けていたか、その逆だったろうか。

書くときの指標として、まず君との関係に関わる大きなエピソードを一つか二つ書いたら、
ゲーム外で君とそのような関係だった人物との些細な思い出で残りを埋めるといいだろう。

ストーリーテリングに自信のないプレイヤーがいる場合、ゲーム導入時にそのプレイヤーを
「あのひと」と特に仲が良かった友人として指定しておくと良い。指定されたプレイヤーは、
仲の良かった友人のことを思い出してメモ用紙を埋めよう。

全員が書き終わったら、各自「あのひと」の名前と思われるもの
(モデルにした誰かの名前や、単にあだ名でもよい)を それぞれ胸に秘めたあと、
すべてのメモを裏向きで一箇所に集める。よく混ぜた後で、その中から各自一枚引く。
このとき、自分の書いたメモを引いてしまったら裏向きで山に戻して新たに引く。
(以後メモを引くときは常に同様にする)


3.プレイ

「あのひと」と仲が良かったとされたプレイヤーは、手元にあるメモを書いたひとに、名前を思い出すよう話を振る。
メモの内容を聞いた話のように読み上げて「こんなことがあったなら名前も思い出せるだろう」と指摘してもいいし、
メモの中身によっては 適当に内容をぼかして、書いたプレイヤーに詳しい話をさせてもよい。
その後メモを公開して全員から見える場所に置き、
裏向きのメモの山から新たに一枚引く。
話を振られたプレイヤーは、必要に応じてその話題について補足したあと、それでも名前は思い出せないと言って、手元のメモについて同様の手順を行う。

ただし、手元のメモを処理する手番が回ってきたプレイヤーは、以下の場合に限り、
振られた話の補足を行った後で、手元のメモを公表せずに握りつぶす。
それに気づいたプレイヤーはその人に「どうかした?」と聞き、聞かれたプレイヤーは「何でもない」と言ってから
別のプレイヤー(後述の理由でメモを持っていないプレイヤーを除く)に適当に話を振る。

a.そこまでの話の流れから、メモを公表するのがはばかられたとき
 皆が「あのひと」のユーモラスさについて盛り上がっているときに、
 わざわざ「あのひと」に虐められていたプレイヤーに話を振るべきではない。

b.そのエピソードを、「あのひと」の一面として認められない、または認めたくないとき
 君と恋仲だったはずの「あのひと」が、別のプレイヤーを熱心に口説いていたことなど自慢させる必要はないし、
 憎むべき「あのひと」が子犬を助けたエピソードなど誰にも聞かせる必要はない。


手番におけるあなたの行動を簡潔にまとめると以下の通りである。

1.前手番のプレイヤーがあなたの書いたエピソードに言及していたなら、必要に応じてその補足をする。その後、それでも「あのひと」の名前は思い出せないと言う。

2-1.あなたの持っているメモを公表するなら、それを会話の流れで読み上げるなどする。
2-2.メモを公表しないなら、それを握りつぶす。

3.メモを読んだならそれを書いたプレイヤーに、メモを握り潰したなら適当なプレイヤーに話を振って、手番を渡す。握り潰していないメモは公開し、メモを新たに一枚引く。


以上の手順を繰り返すうち、山からメモがなくなった場合、または山の中に自分のメモしかないことが明らかになった場合は
それ以上メモを引かず、話を振られたら「私はもういいでしょう」と言って、 メモを持つプレイヤーに話を振るようにする。


4.終了

すべてのメモが公開されるか握りつぶされたとき、すべてのプレイヤーは公開されたメモを参照して
「あのひと」がどんなだったか自由に語り合う。
公開されたメモの内訳に応じて、ゲームは以下のとおり終了する。
ゲーム終了後、握りつぶされたメモは厳重に処分する。

・公開されたメモの一番少ないプレイヤーが一人に定まるとき
 「あのひと」についての話が盛り上がってきたところで、そのプレイヤーは全員の話を遮り
 「誰も本当の『あのひと』を知らないんだね」と言う。
 そのプレイヤーが胸に秘めた名前が「あのひと」の本当の名前である。

・すべてのメモが公開されているとき
 「あのひと」と一番仲の良かった友人に設定されていたプレイヤーが「思い出した!」と言う。
 そのプレイヤーはきっと、名前をあえて内緒にして皆の反応を楽しむだろう。

・公開されたメモの一番少ないプレイヤーが複数人いるとき
 その複数人で席を外し、読まれなかったエピソードについて語り合う。
 「あのひと」の名前は結局思い出せないが、仮に席を外した全員が、
 一番「あのひと」と関わりがあったのが誰かについてはっきりと同意できるなら、
 きっとそのプレイヤーが思い出している。

・公開されたメモの一番少ないプレイヤーの数が、全体の過半数に及ぶとき
 誰かが指揮をとって、全員で「あのひと」の名前と思われるものを一斉に言う。
 こんなにも意見の食い違う「あのひと」は、本当に存在したのだろうか?