chocoxinaのover140

ハンドルは「ちょこざいな」と読ませている

なんなんだアクアフレッシュ

アクアフレッシュの歯磨き粉を使っている。
虫歯予防の白、口臭予防の青、歯垢除去の赤がストライプになって出てくるアレだ。

近所のドン・キホーテで98円くらいになっていたそれを使い始めて数日経ったころ、パッケージの裏に

「綺麗なストライプのために後ろから絞って下さい」

と書かれているのに気づいた。

これはしまったぞ、と思った。

chocoxinaはハミガキチューブに正しい絞り方があるなどとはつゆ程も想像していなかったし、これまでずっと、予備知識ゼロであのチューブを持った人間が当然そうするように、腹のあたりを雑にぎゅっと握りしめてペーストをひり出してきた。

ところが、そのような絞り方をしていると、いずれ「綺麗なストライプ」が出なくなるというのだ。

これは由々しき事態である。

遠からぬ未来、チューブの中のストライプが崩れ、例えば赤い部分がまったく出てこなくなったら。
歯垢除去をつかさどる何らかの成分を欠いたまま歯磨きをすることになり、歯と歯の間は歯垢で真っ白。その日の通勤中に「Braun Morning Report」に捕まったら、すべての歯を謎の薬液で真っピンクに染めあげられた姿が、CMとしてお茶の間に流されることになる。

虫歯予防の白、口臭予防の青が欠けた日のことなど、想像するだに恐ろしかった。

しかし、である。

なぜ俺が、アクアフレッシュを使っている俺だけが、このような憂き目にあわなければならないのか。

他のやつらが何も考えずに歯を磨き、オーラツーでステインをクリアし、クリニカでプラークをコントロールし、デンターシステマで歯周ポケットをケアしている間に、なぜアクアフレッシュを使っている俺だけが、甚大なリスクを背負いながらハミガキチューブを後ろから絞らなければならないのか。

そもそも、虫歯予防・口臭予防・歯垢除去などという、歯磨き粉におしなべて欠くべからざる3つの要素について、製造元のグラクソ・スミスクラインはなぜあらかじめよく混ぜておかないのか。

俺はこの世の理不尽を嘆いた。
さながら、生まれた国や血筋、その他の環境によって、その後の人生に避けがたい格差が生じるように。
どの歯磨き粉を使うか?といった選択までもが、その後の人生にかくも大きな差をもたらすのだ。

もし今後、赤い部分を欠いたクリアクリーンで歯を磨いたchocoxinaがBraun Morning Reportに捕まり、歯と歯の間を真っピンクに染め上げられたなら。
せめてもの抵抗として「毎朝クリアクリーンを使ってるんですけどねえ」とコメントするところまでCMに残してもらおう。
悲惨な生活を送る人々が国際記者を通じて世界に窮状を訴えるように、Braunを通してアクアフレッシュユーザーの口腔衛生問題を世に訴えるのだ。

……などと吹き上がりながらアクアフレッシュについて調べていたのだが、どうやらあの歯磨き粉は、どの色の部分にも全く同じ成分が入っているらしい。

なんなんだアクアフレッシュ。

中野を荒らす「違法テプラ」のなぞ

繁華街を歩いていると

こういった具合で、反社会的な感じの人たちが公共物に張り付けていったステッカーを見ることができる。

一つひとつをじっくり見てみると、何らかのメッセージ性を感じるものや「○○参上!」といった趣のものなど様々。

その違法っぷりや景観への悪影響は看過できないにせよ、ともかくなかなか興味深いものだ。

筆者の職場がある中野駅(東京都)付近にも例によってさまざまなシール類が貼られているのだが、その中でもとりわけ目を惹くものがあった。

テプラだ。

あんまりにも収まりがいい写真で、事情が伝わり切っていないかもしれないので改めて説明させていただくと……

中野には「さまざまな違法ステッカーと同じノリで、路上にテプラを貼って回っている徒党」がいくつか存在するようなのだ。

本記事は、そのような「違法テプラ」および、それらを貼る人たち(通称テプラチーマー)に関する研究の記録である。

※「違法テプラ」「テプラチーマー」は、chocoxinaオリジナルの呼称であり、世間一般およびアングラシーンに認知されたものではありません。

2018年 中野のテプラチーマー一覧

これまで確認できた限り、中野には3+αのテプラチーマーが存在するらしい。

1.輝府羅組(てぷらぐみ)

※以降、すべての徒党をこちらで付けた勝手な名前で呼ぶことにする。(本人らが屋号っぽいものを自称してる場合もあるのだが、それを尊重しすぎるのもなんだか違う気がするので)

さて、輝府羅組(てぷらぐみ)がこれまでにボムって(路上に落書きを行ったり、ステッカーを貼ったりすること)きた違法テプラには、

  • 縦書きであること
  • 構成員の名前とキャッチフレーズが書かれており、派手な装飾が施されていないこと

以上の特徴があり、ざっと以下のようなものが確認できた。

※人名については一応伏せておきます。

標語の部分にちょっとしたルサンチマンや下ネタが感じられることを除けば、なんというか
「90年代の中小企業が全社員に作らせて、社用PHSの裏に貼らせてそうなテプラ」といった趣がある。

ところで、この輝府羅組(てぷらぐみ)のラベルには「名前だけ大きな文字にする」という装飾テクニックが使われている。

この再現がなかなか難しかったので、備忘録がてらご共有させていただこう。

再現に使ったテプラはエントリーモデルの型落ち品(SR150)だが、大半のテプラで再現できるはずだ。

まず縦書きに切り替えた後で、このボタンから「文字サイズ」メニューを選択する。

テプラには「特定の行だけ文字サイズを変える」という機能はなく、代わりに既存のレイアウトから適したものを選ぶかたちになっている。
キャッチフレーズに1行しか使わない場合、このように2行目が大きくなるレイアウトを選び、あとは画面に従って変更を確定させればよい。

そしてかっこいいキャッチフレーズと自分の名前を入力することで、輝府羅組(てぷらぐみ)のラベルが再現できる。

chocoxinaも個人的に作例を作ったのだが、ここに上げることを忘れてうっかり本名で刷ってしまったのでお蔵入りとさせて頂きます。

2.プリハ

輝府羅組(てぷらぐみ)と同程度か、それ以上の勢力を誇るテプラチーマーが、この「プリハ」。

  • テプラの外枠機能で装飾を行っており、メンバーごとに異なる外枠を使う
  • チーム名と個人名(あだ名?)が記されている

という点が特徴的だ。

彼らの違法テプラは、輝府羅組(てぷらぐみ)のものよりも更に「テプラ然」としており、その違法性に似つかわしくないほのぼの感を演出している。

おかあさんが手芸用品を入れたクッキー缶に貼っていそうな感じだ。

chocoxinaが初めて見た違法テプラはこの「プリハ」のもので、当時はこれが一体なんなのかまるで理解できなかった。
ところが似たようなラベルを路上でいくつか見つけるにつれ、
「これはどうやら、その辺の落書きシールと同じような意図でもって貼られているらしいぞ」
と思い至り、静かな、かつ大きな衝撃を受けたのだ。

輝府羅組とのコラボレーション

さて、彼らのラベルについて一つ一つ詳しく調べてみると、彼らが使用している外枠すべてが、筆者宅のテプラにも備わっていることがわかった。

こんな感じで内蔵された外枠を確認できる

テプラには大きく分けて、「家庭用」と「ビジネス用」、さらにビジネス用の下位モデルである「エントリー」というシリーズがあり、家庭用とそれ以外で外枠のラインナップが異なる。

筆者のものはエントリーモデルなので、彼らの使用するテプラが「家庭用」ではないことがはっきりしたわけだ。

せっかくなので、彼らプリハのスタイルも再現してみよう。

テプラの外枠機能は、

このボタンから「外枠」のメニューを選ぶことで使用できる。

エントリーモデルでもだいたい70以上の外枠が使用できるので、好みに応じたものを選ぼう。

そして屋号とコードネームを入れて印刷すれば

完成、かというとそうではない。

両サイドの余白部分をきちんとハサミでカットするのをお忘れなきよう。

3.チームマイベスト

八月なかばあたりから急速に勢力を拡大してきた感のあるテプラチーマーがこの「チームマイベスト」。

彼らの違法テプラは、先に紹介したプリハのものと似通った部分が多いのだが、

  • より幅広で色付きのラベル
  • 余裕のある文字組(相対的に、描画がより高精になる)
  • ハイビスカスなど、南国を思わせる外枠を多用し、フォントを変更する

という独自色も忘れていない。

とくにフォントについては、2万円近くするスタンダードモデルのテプラかその上位機種にしか搭載されていない「ST体」を使用していることが確認できた。

そうしたこだわりを見ると、彼らはプリハと似ているどころか、対照的に「テプラ感」からの脱却を意図しているようにさえ感じられる。

彼らの創意工夫により、チームマイベストのテプラは「お気に入りの曲ばかり入れたマイベスト盤カセットテープの題字」のような趣を帯びた、興味深い仕上がりになっているのだ。

このカセットテープには沢田研二とか入ってるんだろうな

ところで、彼らのラベルの中に、

この通り、カートリッジの不調でインクリボンがくっついたままになったものが見受けられた。

これは恐らく、夜の暗いなか、ラベルがどうなっているのかよく見えない状態で貼り付けられたのだろう。
つまりチームマイベストはラベルを家で印刷してくるのではなく、現場までテプラを持ちだしてその都度印刷しているものと推察される。

不法行為・オン・デマンドだ。

4.シーホリ

ここまでに紹介した三つの勢力が、いわば中野の三大テプラチーマー。

そのほかにもいくつか「未分類」の違法テプラを収集しているのだが、その中で特に紹介したいのがこの「シーホリ」である。

彼らはテプラチーマーの中でも新興勢力と思しき徒党で、今のところ、彼らのラベルは一つしか確認できていない。

その見た目は一見「プリハ」のものと大差ないように見えるのだが……

この「クジラに泡」の外枠は、現行品のどのテプラにも収録されていないのだ。

テプラ以外のラベルライターには、ブラザーのピータッチやカシオのネームランドなどがあるが、どの現行機にもこの意匠は確認できない1

DJがライバルと差をつけるためにレアな音源(レアグルーヴ)を買い求めるように、テプラチーマーの間でも「レアラベルライター」を探す動きが活発になりそうだ。

落書きは器物損壊や建造物損壊などの罪に問われる可能性があります

こんなところで、以上が筆者のおよそひと月にわたる「違法テプラ」および「テプラチーマー」研究の記録である。

彼らのラベルを更に詳しく見てみると
「プリハとチームマイベストには何らかの交流があるか、あるいはそもそも同じ徒党かもしれない」とか、
「輝府羅組(てぷらぐみ)は◯◯◯について訴えたいらしく、かつてはてらいのない紙製のシールを使っていた」とか、
「みなお盆休みを取れる仕事または学業をしているらしい(その期間にぐっとラベルが増えたので)」とか、テプラチーマーの内情についていろいろと見えてくるものもあるのだが……

不法行為による自己表現にあまり深入り・肩入れをすべきではないと考え、今回は「ラベルそのもの」を重点的にご紹介した。

彼らの行為にはあくまで異を唱え、ほんの時たま彼らの作り出すちょっと不思議な、路上とオフィスと人の家とが溶け合うような情景を楽しむくらいが、我々昼間の人間として丁度良いところだろう。

――などとまとめていたらどうも社会的になりすぎたので、最後に「違法テプラかと思ったら合法テプラだったやつ」を掲載してこの記事を終わらせて頂きます。


  1. 筆者の調べによるもの。

拗らせたボードゲーマーのためのオセロ初等戦術

ボードゲームを趣味にしていて、そのことが職場などで知られてしまうと
ボードゲームって、オセロみたいなやつ?」
などと言われることがあるだろう。

その相手をボードゲーム趣味に引き込みたい場合はともかく、そうでない場合、chocoxinaは説明をめんどくさがって
「だいたいそんな感じです」
で済ませてしまう。

そうすると大体話は流れてくれるのだが、この前職場の厄介な女性に
「えー私オセロ得意なんですよー」
と食いつかれてしまい、結局その人とオセロをすることになった。

chocoxinaはたまたまオセロの心得があったのでさっくり勝ってその場は終わったのだが…。
仮にこのケースのchocoxinaのような目に遭ったボードゲーマーが、人並みのオセロ経験しか持ち合わせていなかった場合、
「オセロが趣味だって言った(言ってない)のに全然弱いじゃないですか~」
みたいなめんどくせえ流れにならないとも限らない。

そこでchocoxinaは、日本中のボードゲーマー仲間のために「小学生のとき、クラスでオセロ最強でした」くらいの奴をさっくり負かすのに最低限必要なオセロ戦術をここに共有することとしたのだ。

序章:確定石という考え方

オセロにおいて、角に置いた石は裏返されない、というのはご存知の通りだが、角以外にも、何らかの理由で裏返されないことが確定した石を「確定石」と呼ぶ。

例えば、黒が

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このように4つの角を取っているとき、

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このように配置された白の石はすべて確定石である。

上の図では、取ると有利とされている角をすべて黒がとっているが、実際に有利なのはどちらか、説明するまでもないだろう。

この「確定石」という考え方を導入すると、以下のことが理解できる。

・石の数が拮抗した最終盤を除けば、オセロというのは基本的に確定石の取り合いである
・序盤にたくさん石を取ることは、まったく意味がない(確定石ではないため)
・角を取ることは確定石を増やすために有利だが、取れば直ちに勝てるというわけではない
以降、この考え方をベースに進めていく。

ゲーム開始時:後手を取ろう

オセロにおいて、確定石でない自分の石はほぼ常に裏返されるリスクがあるのだが、最後に置いた石だけはその心配がない。
ゆえに、オセロは最後の石が置ける後手が有利である。

あなたが相手と白熱した勝負をしたいのであれば、当然有利な後手を相手に譲るべきだが、この記事は「めんどくせえオセロ勝負を手っ取り早く勝って終わらせる」ことを目的としている。
「先手どうぞ」と言って、相手にさも有利な手番を譲ったかのような顔をしながら、ありがたく後手をいただこう。

序盤:相手の石に囲まれよう

オセロにおいて、序盤に取った石などどうせ裏返される。
よって序盤は、多くの石をとることではなく「自分が打てる手の選択肢を広げる」ことを重視して動くべきである。
(これは序盤に限らずオセロ全体に通底する考え方である。中盤以降、自分の着手に選択肢が少なく「置きたくない場所に置かされる」ということがあれば、一気に敗北に近づくことになる)

相手の石が外側、自分の石が内側になるように動くことによって、相手の選択肢はより少なく、自分の選択肢はより多くなるだろう。

具体的に手筋の例を挙げると、石の集まりの外側に一直線に自分の石を並べて「壁」を作ることは悪手、逆に相手が作った壁の真ん中を取る「中割り」は好手となる。

中盤:辺の形を気にしよう

オセロ盤の外周を「辺」、その1マス内側を「中辺」というのだが、この辺と中辺の形には明確な有利不利がある。

ここで、最速で素人を負かすために最も覚えるべき手筋は、相手に「ウイング」と呼ばれる不利な形を作らせることだ。

f:id:chocoxina:20180623213612p:plain この画像のような形を「ウイング」と呼ぶのだが、

f:id:chocoxina:20180623213628p:plain 相手にこの角を取らせた後、

f:id:chocoxina:20180623213647p:plain 自分がここに打ち込むことによって

f:id:chocoxina:20180623213701p:plain 下辺を一気に自分の確定石にすることができる。

ただしこの時、相手が右辺に「山」と呼ばれる好形を作っていると、相手の確定石が増えてしまうため注意。

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逆にこの「山」を自分が左辺に作っていれば、自分の確定石が大きく増えることは言うまでもないだろう。

終盤:奇数空きに打ち込もう

オセロでは、最後の石を打つことができる後手が有利だ、ということはすでに話した通りだが、この考え方はゲーム中にも適用できる。

ゲーム終盤、ほとんど埋まりきったオセロ盤に、空きマスのかたまりが数か所残っている、という場面がある。

このとき、奇数個空いているマスに自分から打ち込むことによって「そのエリアの最後の石」を自分が打ち込める可能性が高まるのだ。

確定していない石は常に裏返されるリスクがあるのがオセロというゲームだが、ゲーム終盤に、周りに空きがない石はかなり裏返されにくい、というのは直感的に理解できるだろう。
奇数個の空きには自分から打ち込み、また偶数個の空きには相手が打ち込むのを待つ、という点を踏まえることによって、僅差の争いを制することができる。

とはいえ、ここまでに紹介した中盤までの戦略を踏まえながら、今回想定しているような相手とオセロをしていれば「ここは奇数個空きだけど、確定石が明らかにたくさんつくれる」という場面もかなりあるだろう。
そのように明かな利益がある場合、この項目は無視してよい。

最後に

そもそも、こんな記事に頼ることがないよう、ボードゲームに少しでも興味を持ったひとたちにはとっておきのゲームを紹介して仲間を増やす、というのが、ボードゲーマーのあるべき姿だと思います。