【落ちのない話】「いつもの濃いメンツ」という概念。あるいは前職の愚痴

このほど転職をした。

 

前職ではスマートフォンゲームの運営をしていたが、現職ではwebメディアのライティングをすることになった。

 

chocoxinaは前職では上長につまらないやつだと思われていたが、現職では愉快なやつとして通っているようだ。

 

前職の上長は、自分のことを面白いと思っている人間のようだった。

彼は愉快な人だったし、彼のことを「面白い人」ということに抵抗はない。

彼は、会話の中に内輪ネタや、職権を濫用した無茶振りなどをよくはさみ、また人の面白さを判じることの多い人だった。

そういうタイプの人たちが「面白い人」を自称することを快く思わない人も多いだろうが、chocoxinaはその点に目くじらを立てようとは思わない。

日常会話の中の他愛のないジョークが、例えば芸人のネタのようによくできた面白さを伴う必要はないと思っているし、どんなによくできたジョークよりも「山田がうんこ漏らした」という一言のほうが面白くなるのが日常のコミュニティというものだ。

 

そういった認識を前提としてここで述べたいのは、そういう人たちが他人を判じるときの「面白いやつ」「面白くないやつ」というのは、「気が合う」「気が合わない」以上の何等の意味もない、ということだ。

彼らに面白いと言われたからといって例えばジョークのセンスがあるわけではないし、彼らにつまらないと言われたからといって、その人にジョークのセンスや、あるいは人間的魅力がないわけではない、ということだ。

 

前職の上長は「俺は面白い奴しか採らない」と言ってはばからなかった。被雇用者としてはこれを間違っても「人間的魅力のあるやつしか採らない」のだろうという風に解釈してはならない。ただ「俺とウマが合う奴しか採らない」と言っているに過ぎないのだ。
(ときに、なぜそんな上長のもとで「面白くない」chocoxinaが働けていたのかといえば、ひとえに過去同社に派遣で入っていて実務経験があったからに過ぎない)

 

彼が自分の言う「面白い」を「ウマが合う」の意味だと正しくメタ認識できていたかはわからない。というよりおそらく彼は自分が「ジョーク」のセンスを通じて相手の人間的魅力みたいなものを判断できると思っているのではないかと思う。

その誤謬は、Facebookの大学生や飲み屋の常連が、気の合う仲間を「いつもの濃いメンツ」と呼んでいるあの感じを思い出させる。

彼らはきっと、自分の隣の席で人知れず芥川賞作家が独りで飲んでいたとしても、彼を「つまらない奴」だと思うことだろう。人の面白さを簡単に判断できると思うことがそもそもつまらない大学生のような発想なのだ。


ともかく、自分は今のところ現職で上長から愉快なやつだと思われている。その評価が、「『うちの濃い部署』の仲間に入れてもらえたこと」を意味するのだとしたら、転職はおおむね成功といっていいだろう。ウマが合うことは何より大事である。

「ジョニ黒」をお菓子で再現する

近頃ウイスキーばかり飲んでいる。
40°という強力なアルコール度数のそれをストレートでちびっ、と口に含むと、なんというかこう、どう美味いかと形容するのが難しいのだけれど、なんかとにかくいろんな味がして美味いのである。
で、chocoxinaなんかとは違う好事家のオトナたちは、もちろんあの高級な命の水を「いろんな味がして美味い」などと雑にくくったりはせず、そのいろんな味をあらん限りの語彙をもってテイスティング・コメントとして記録している。
そこで使われる表現はさまざまだが、例えばあるウイスキーは「スモーク、スパイス、タンジェリン、トフィー、バニラ、アーモンド」の味がするらしい。
ただそれって、ウイスキーというよりほぼお菓子ではないか。

 

ジョニ黒の話

そのウイスキーというのが「ジョニーウォーカー」である

 

www.amazon.co.jp

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(Toffeeと書かれた下にキャラメルの説明があるのは日本向けのローカライズだろうか)

 

ジョニーウォーカーには原酒の熟成年数などに応じてさまざまな種類があるが、今回取り上げるのはその中の「ブラックラベル」である。聞き覚えのある方もいるかと思うが、ジョニーウォーカーのブラックといえば昔のアニメで波平やいじわるばあさんが大事にしていたいわゆる「ジョニ黒」のことである。

 

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家にあるジョニ黒の小瓶。昔は700mlで数万円?もしたそうだが、今は小瓶ならワンコインだ。

 

このジョニーウォーカー、初めて飲んだときは結構ヘビーな味わいで面食らったのだが、先程のテイスティングコメントを踏まえて飲んでみるとぐっと美味く感じられる。
アルコールのカッとした感じと一緒に広がる爽やかさは確かにタンジェリンっぽいな、とか、飲み込んだ後に上顎に張り付くような甘さは確かにトフィー……はよく知らないけどキャラメル的だな、とか、今まで口の中を自由に走り回っていた味たちが朝礼台の前に背の順で並んでくれたように、一つひとつの顔がはっきりと分かる。

 

こうなってくるともう以前の感覚に戻れないのが人間というもので、かつてあんなに煙たくて暴力的だったウイスキーがもうお菓子のようだとすら思えてくる。
それこそ「テイスティングコメントの材料でお菓子を作ったらジョニ黒味になるのでは?」とか考え出すくらいにだ。

そういうわけなので、作っていきます。

 

製作

ここで改めて、ジョニ黒のフレーバーを表す六要素は「スモーク、スパイス、タンジェリン、トフィー、バニラ、アーモンド」だった。
トフィー(砂糖とバターを煮詰めてつくるキャラメル的なキャンディのことらしい)というのが何物なのか当時は見当もつかなかったので「なんかハイソなお菓子っぽいし」と成城石井に行ってみたところ、案の定バッチリ売っていた。しかもアーモンド入りのちょうどいいやつだ。

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(1000円近くしたけど。さすが成城石井だ)

 

これに他のフレーバーを足していこう。

 

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タンジェリン代わりの普通のオレンジジュースと、シナモン、バニラエッセンスを

 

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フライパンで煮詰める。


家でお菓子を作ることがあまりないので「このフライパン、さっき餃子焼いてたやつだけど大丈夫かな」などと余計なことが気になってしまう。


そうして部屋中に「漠然とうまそうなお菓子の匂い」を漂わせながらこってりと煮詰まったオレンジジュースを、皿にうやうやしく並べたトフィーにかけると

 

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「アーモンドトフィーのスパイシーオレンジソース」とでも言うべきお菓子の完成である。


……なんだかこう、景物の異様さ(固いお菓子にゆるいソースがかかっている)にカメラの具合が相まって、前衛芸術やシュルレアリスムのような写真が撮れてしまった。

 

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 「怠惰な邂逅」 猪口 才那 2017年

 

ところで、このお菓子に「スモーク」の要素が全く入っていないことに気付いた読者様もおられるかと思うが

 

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作っている最中の自分は全く気が付いていなかったので、食べる際には家にあったお香を焚くことでスモーク感を追加しようと思います。

 

 実食

なにはともあれ実食してみる。


表面をぬらぬらとさせたトフィーを口に放り込むと、まずオレンジの爽やかさがきて、やがてアーモンドトフィーの甘さが残る。よく味わえばバニラやシナモンの香りも感じられ、お香も焚かないよりマシ程度にスモーキーさを演出する。

強いて言えばオレンジとトフィーがあまり馴染んでおらず、全体的にどこか空虚な感じがするのだが、字面だけ見る分にはかなりジョニーウォーカーである。顔は似てないのに雰囲気が伝わる関根勤のモノマネみたいな感じで、「そっくり!」とは到底言えないけれど「わかるわかる!」と言いたくなるような味だ。

 

せっかくなので本物とくらべてみよう。

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「高校生が考えたデキる男の休日」みたいな写真が撮れたぞ

 

交互に味わってみると「似てないけどわかる」という感覚がより強固になる。
お菓子とウイスキーの味を比べようとすると、自ずと「お菓子をつまみにウイスキーを飲む」かっこうになるのだが、結構主張の強い味のものをたくさんつかった今回のお菓子が、以外なほどウイスキーの邪魔をしないのだ。
また反面、それぞれいい具合に味の傾向が近いために両者の差、特にウイスキー側の良さが際立つ。
テイスティングノートに記載されない「ウイスキー味」「アルコール味」としか形容しようのない部分が、ウイスキーの深みというか、個々に際立つオレンジやトフィーの足元を支えていたんだなあ、ということがわかってくるのだ。

 

結び

そんなわけで今回の実験、完全にジョニ黒味のお菓子は作れなかったが、関根勤がジョニ黒のモノマネをしたような面白いツマミを作ることができた。
これ、いろんなウイスキーを「テイスティングコメント菓子」で飲んでみたら面白いかもなあ、とも思ったのだが、手元にある別のウイスキーは「シェリー」だの「ピート」だのやたらと入手困難なものを要求してくるので、次回以降の課題とさせて頂きますね。


といったところ、もう書くこともなくなったんですが記事として落ちが弱いので、作ったお菓子のテイスティングコメントを載せて終わりにします。

 

外観:
濃いオレンジ、濁っており、粘性は極めて強い。

 

香り:
濃密なスモークにオレンジとバニラ。スワリング(ここでは皿を回すこと)すると僅かなシナモン。

 

味わい:
フレッシュでライト。アルコールを感じさせない熟成感とオレンジの爽やかさ。続けてトフィーの甘さにナッツ。

 

フィニッシュ:
トフィーとアーモンドの長く深い余韻(噛んで食べると歯に残るから)。

【落ちのない話】そんなにチョコミントが好きか

チョコミント味のものをしばしば食べる。

この時期に食べるチョコミントアイスは美味い。キンと冷えたミントの清涼感とチョコレートのコク、お互いがしつこくなり過ぎないように手綱を引き合うような、均整のとれた味がする。

ところが世間の評判は思うほど芳しくない。歯磨き粉の味がするとかで、親の仇のように嫌う人が多いようだ。 個人的に、チョコミントのことを「歯磨き粉の味」などと言われると、ちょっと待ち給えよ、という気分にはなる。チョコミント美味いやろがい、と言い返したい気持ちもまあ、否定できない。

 

でも、と立ち止まり考える。自分はそこまでチョコミントが好きだろうか。 チョコミントはわりかし美味しい。だが不当な評価を受けている。その不当な評価に対して異を唱えるうちにいつしか、なんというかこう、自分のチョコミントに対する好意を実態以上に評価していないか。チョコミントに対して"判官びいき"をしてやいないか。

例えばある日アイスが食べたくなって、コンビニの冷凍ケースを開ける。爽バニラを手に取りかけて、スーパーカップチョコミントが目に入る。「俺チョコミント好きやし」と思って持ち替え、帰って一口食べる。自分の口が爽バニラの味を期待していたのを自覚し「なんかチョコミントって気分でもなかったな」という気分になる。そんな経験があった気はしないか。自身の嗜好に対する「チョコミントが好きだ」という認知、俗に言うメタ認知の歪みが、意思決定にマイナスの影響を及ぼしているとは言えないか。

 

俺はチョコミントのことがどのくらい好きだろうか。爽バニラと比べたら? サーティーワンのポッピングシャワーとなら? 8月に食べるならガリガリ君とチョコミントどっち? そういえばアイスでないチョコミントってどのくらい好きだった? そもそも好きってどのくらいから?

かように深く、深く自己を見つめ直す作業には冷静さが要る。これ以上の考察にはまず心身をスッキリとさせて、糖分を補給したい。チョコミントアイスとかで。

【落ちのない話】ロクヨンのない家庭で育った

chocoxina世代の男子にとって、小学生時代というのはロクヨンと共にあった。

友人の家に集まれば、誰が促すでもなくロクヨンがブラウン管につながれ、集まったうちの数人がその3P、4Pに持ち込みのコントローラーを挿した。マリオ64マリオカートマリオパーティスマブラゴールデンアイ。時にはたまごっちワールドやF-ZERO Xを遊んだ。どの家でもスマブラカービィゴールデンアイの黄金銃は禁止された。chocoxinaはロクヨンのない家庭で育ったので、少し苦い気持ちでその輪に混じった。

スマブラは苦手だった。復帰技を持つキャラをリンクしか知らなかったのでそれしか使わなかったし、そのときうっかり下Bなど押そうものならバクダンの投げ方がわからずたいてい自爆した。スマッシュ技を知らなかったので相手にトドメをさせることはまれだった。

マリオカートはもっと苦手だった。スタートダッシュについてはみな曖昧な説明しかしてくれず一度も成功しなかったし、ドリフトを覚えたのも皆が飽き始めたころだった。レインボーロードを一周する間に5回は落ちた。

ゴールデンアイも大概なものだった。マップ地点など覚えているはずのない自分は主戦場に向かう途中でしばしば道に迷い、誰が設置したかも分からないモーションセンサー爆弾で死んだ。このゲーム中は誰も成績を気にしておらず、どれも馬鹿騒ぎの種になったのは幸いだった。

マリオ64時のオカリナはついぞまともにプレイできなかったし、そのために話題に取り残されることも多かった。そもそも据え置きハードといえば自宅には元祖プレステとSFC(親戚からのお下がりだ)しかなく、それは実家を出るまで変わらなかった。

 

今年の三月末、実質十数年ぶりの据え置きハードであるSwitchを買った。

併せて買ったゼルダをプレイしながら友人と感想を語り合い、あれほど苦労した祠の裏技的な解法を聞かされて歯噛みした。人の集まる場所でジョイコンを分け合ってスニッパーズに興じた。本体を持ち寄ってARMSをプレイした。始めて触れるひとにはなるべく簡素に操作の説明をした。今Switchを欲しがっているひとが買えるようにささやかな情報の拡散に努めた。「このハードで出る」という以外なにも知らないゲームの情報を追いかけるようになった。

chocoxinaはいまロクヨンの代わりにSwitchを持ってローティーン時代をやり直しているのである。そんなわけなのでこのところTwitterでやたらとSwitchだARMSだのとうるさいのも多目に見て欲しいという話です。一緒にイカやろ。

【ARMS】なぜお前はグランプリLv4で死ぬのか

よくきたな。俺はchocoxinaだ。おまえはARMSを知っているか? 知っているだと? それは少年サンデーでやっていたほうではないか? あいつは右手にジャバウォックを宿すらしいが、俺はよくしらない。ともかく今俺の右手にはジャバウォックではなく、ARMSのうりょくが宿っている。左手にもだ。

おれは誰にもテキストを読ませる気はないが、今回とくべつにARMSについて語ろう。このゲームが真の男のためのものであるとお前らにわからせてやるつもりだ。

※筆者注:この文章は逆噴射聡一郎先生の文体を過度にリスペクトして執筆されています。氏についてくわしくはこちら(

ダイハードテイルズ所属作家紹介:逆噴射聡一郎 | ダイハードテイルズ

)を御覧ください。

 

ARMSとはなにか?

ARMS・・・それはわりと最近任天堂がはつばいした対戦格闘ゲームだ。 なんか腕が伸びるファンキーな見た目とか、任天堂が出しているとかの理由でパーティーゲームのような印象を受けるが、「対戦」「格闘」というワードには真の男にうったえるみ力があり、事実このゲームはかなり真の男の世界、すなわちメキシコだ。(注:パーティー的なモードも含まれており、ライトに楽しむことも可能です)

俺は発売当時このゲームをナメていた。所詮任天堂がキッズむけに出したお遊びだと思っていたし、発売前の体験会では適当に空中からパンチを撃つだけでミイラや実けん生物を叩きのめすことができた。発売後、グランプリ(コンピューター戦だ)で7段階あるうちのレベル4に挑まなければランクマッチに挑戦できないと知ったときも俺は余裕をぶっこいていたし、真っ先にそのレベル4に挑んだ。そして・・・

「ウオーッ!?」

おれはわけもわからず死んだ。KOをつげる無慈悲な声、ゆうゆうと紅茶を飲むベイブのまなざし、観衆の嘲笑・・・。そういったものが俺をさいなんだ。俺は、泣いた。ここで仮にジョイコンを投げ出していたら今のおれはなかったが、俺はそうしなかった。今でこそ俺はランクマッチという真のメキシコで男を磨いているが、その前に長い復讐の旅に出るひつようがあった。そしてそこで俺は、ARMSが真の男のためのゲームであると理解したのだ。

 

お前はこうして死ぬ

グランプリにおける典型的な負けパターンは、こうだ。試合開始と同時にお前はやみくもなジャンプやダッシュを繰り返し、敵が射程に入ったと見るや空中から安直なワンツー・パンチをくり出す。相手のベイブはお前の右腕をステップで避け、左腕は自分の右腕を当てて相殺する。するとどうだ。相手は左腕を残してお前をにらみ、両腕が伸び切ってガラ空きなお前のボディに冷こくなストレートをあびせる。それを何度も繰り返すうちにお前は凍り、燃え、感電し・・・そして、死ぬ。お前はぶざまな死骸をメキシコの荒野にさらし、犬にさえかえりみられることはない。

ここでお前は3つの失敗をおかしている。両腕を伸ばしてしまったことと、安易にジャンプしたこと、そもそもノープランで先手を取ったことだ。

 

両腕を伸ばすな

ARMSのリングはメキシコだ。お前と対戦相手は真正面で向かい合い、弾が1発しか入らない拳銃を両手に持っている。メキシカン・スタンドオフだ。ARMSにおける腕は拳銃だ。弾切れした銃はリロードしなければ使えないように、パンチを放ったら腕が伸び切るか相手にヒットして、戻ってくるまで使えない。

暴力がうずまくメキシコで、銃を使えない奴はどうなる? 死ぬ。だからお前は、両腕を伸ばして銃が使えなくなる時間をなるべく短くしなくてはならない。これは同時に、両手を出す「投げ」のアクションを極めて慎重に行わなければならないことを意味している。

 

むやみにジャンプするな

お前が今から5秒後、アントニオ・バンデラスに殴られることがわかっていたとする。お前は顔を守るように腕をクロスさせ、地面に脚を踏ん張るだろう。そこでジャンプをしようなどというあほはいない。弾き飛ばされてガードの意味がないからだ。だからARMSファイターも空中でガードはできない。

お前が空中を飛び回っている間は相手のパンチも当たりにくいのでそのリスクがわかりにくいが、真の恐怖は着地の瞬間におとずれる。空中の無防備さと地上の狙い易さ・・・さながらメキシコの荒野の真ん中で歩きスマッホをしながらテキーラで飲んだくれているようなものだ。敵はお前にハンドガンでも、ギターケースのロケット弾でも当てることができる。ジャンプは間合いの調整や緊急回避のために必要だが、そのようなリスクがあることを常に意識しておけ。

 

後の先をとれ

俺が最初に挙げた負けパターンの動きを思い出してほしい。あのときお前を負かした敵と同じ動きができれば、お前は強くなれる。ブチョのように悪どいCPUを相手に全く同じ動きはできないだろうが、一つだけ簡単に真似できることがある。先手を取らないことだ。 試合が始まったら、相手をよく見ながら間合いをはかる。相手がパンチを撃ってきたら、避ける。ある程度離れていればこれは簡単だ。そしてそこからパンチをくり出すことによって、お前は相手より腕を一本多く残した状態から殴り合いを始めることができる。相手には拳銃が一丁、お前には二丁。これはかなり有利であることが知られている。

自分からパンチを撃つときにも、なるべくこの状態を作るように動く。誘われた相手のパンチをがんばって2つとも避けたり、自分の二発目をワンテンポ遅らせたり、逆に早めたりして相手のペースを崩し、2対1、1対0の状況を作るのがいいと思う。Lv4くらいのCPUはあほなので、わりと簡単にペースを崩す。

 

その他

・ガードの存在を常に意識しろ。あるていど相手のパンチが避けられるようになったお前はガードの存在など忘れてしまうだろうが、そのような腰抜けはマスターマミーのビッグパンチやミェンミェンのホットリングによってむざんな死をとげる。ガードで敵のパンチをはじいたしゅん間にLボタンを押すとスキのないダッシュができるので、余裕があれば覚えておけ。

・HPゲージ横の三角のドリトスが黄色く燃えると必殺ラッシュが出せるが、これは確実に当てられそうなときにとっておけ。確実というのは相手が少なくとも片腕を伸ばしていて、特にまだ最大まで伸び切っていないときだ。ラッシュは自分の腕がパンチや投げで伸びているときにも発動できる。

・逆に相手のドリトスが黄色くなっているときは注意しろ。不必要なジャンプをせず、常にガードができるようにしておけ。ガードが出来なくても片手が残っていれば相手のラッシュをステップで避けることができる。

・ラスボスにたどり着くまでにチャージの練習をしておけ。チャージというのはジャンプ・ダッシュ・ガードを出しっぱなしにしているときにたまり、チャージ状態でパンチを当てると敵が燃えたりとかして動きがわりと止まる。詳しいことは攻りゃくwikiでも見ておけ。

・アームの種類は何でもいいが、迷ったらグローブみたいな奴にしろ。リボンガールやバイト&バークが持っているクラッカーみたいな奴はそくどが高いので、相手のスキを見つけたときに当てやすい。

・いいね持ちとプロコンのどちらがいいかだと? 知らん。好きなほうでやれ。行き詰まったら両方試してみろ。

 

そしてお前は真の男になる

ARMSは真の男のためのゲームで、リングはメキソコだ。グランプリのLv4は真ん中らへんの難い度とは思えないほど強く、この記事を読んでもまだクリアできないかもしれない。とくにラスボスはチョー強くて苦戦をしいられる。だがそんなときも「エッ真ん中らへんなのにクリアできない・・・ゲームが下手・・・ブックオフに売ってパラッパラッパーでも買お・・・」などと考えないほうがいい。

ニートレホが強いのは自分の強さを信じているからだ。この記事をここまで読んだお前は真の男を目指していて、業者RTや予測変換にも屈しないし、六本木ヒルズアーロンチェアに腰掛けてバターコーヒーを飲むような腰抜けとも違うはずだ。だからお前も自分を信じろ。辛くなったらグランプリをLv1からこう略してもいいし、パーティーマッチでマトアテに興じてもいい。バーサスモードの中にトレーニングもある(一部のトレーニングはグランプリよりも強いので負けても気にするな)。そんなふうにARMSをエンジョイしたあとでまたLv4に挑戦すると、たしかな上達を実感できるだろう。

そうしてやがてグランプリをクリアしたお前は真の男になる。その先にはランクマッチやLv7といった新たなメキシコが広がっているがそんなことはどうでもよく、まずLv4をクリアした自分を誇るべきだ。そうPRIDE OF MEXICO・・・そして未来へ・・・。

妄想大富豪について考える

はじめに

デイリーポータルZで「妄想大富豪」なるゲームが紹介されました。

http://portal.nifty.com/kiji-smp/170607199828_1.htm

詳しい内容は上の記事を読んで頂くものとして、厄介なゲーマーであるところのchocoxinaとしてはこのいかにも楽しげなゲームについていくつか気になる点があるので、自分のためにここに書き残しておきます。

 

基本的なルール

まず、記事に記載のある妄想大富豪のルールは以下です。

・基本は大富豪だが、何を出してもOK
・4枚同時出しによる革命(強弱逆転)はなし
・同じ種類のカードの同時出しは3枚までならOK
・出せるカードがないときはパス
・出せるカードがあるときのパスは二回までOK
・カードを記録するホストと、プレイヤーに別れる
・プレイヤーの人数は三人以上だとより盛り上がる
※パスとアウトの上限はプレイヤーの慣れで調整

 

ここに記事中のリプレイを参考に、不足したルールを補うと以下のようになります。

 

・もう存在しないカードを宣言したり、出せるカードがあるときのパスが規定回数を超えたりすると脱落。つまりこのゲームは「一人負けを決める」もしくは「最後の一人になるまで脱落者を決める」ゲームである。
・カードの所持数という概念はない。つまり誰が何枚カードを出してもよい。
・全てのカードが宣言されたときに関する取り決めは存在しない(っぽい)。

 

記事中ではいかにも記憶力バトルロイヤルという様相の白熱したゲームが繰り広げられたこの妄想大富豪、こんなに楽しそうなのにchocoxinaは一体何を気にしているのかというと、次項のようなことです。

 

無敗の戦略

勘のいい人はもう気づかれたかもしれませんが、このゲームには「自分が脱落する可能性を限りなくゼロにする」戦略が存在します。

 

  1. 最初に自分のターンが来るまでに出たカードを覚えておく
  2. 最初に自分のターンが来たら(ほとんどの場合シングル出しで回ってくる筈です)すぐさま「ジョーカー」を宣言する。
  3. 全員パスをするので、それ以降は「2を三枚、Aを3枚、Kを三枚・・・」と、そのとき出せる最も強い組み合わせを気がすむまで宣言し続ける。

こんな戦略を取れば間違いなくゲームは冬の阿寒湖のように冷え切ったものになるでしょうが、ともかく脱落する可能性を限りなく低くすることができます。
気の知れた仲間内でプレイする分にはお互い空気を読んでこの戦略を取らないようにすればいい(後述するように、実はそうとも言い切れないのですが)としても、このゲームはこういった戦略が存在することで「どうしても負けたくない人間が一人混じるだけでゲームが冷え切る」というリスクを抱えているといえます。

 

もちろんこの戦略、作者のネルソン水嶋さんも認知しており、以下のようにコメントしています。

ネルソン水嶋 on Twitter: "ちなみに先手で最強カードを出しつづける策は当然把握してるのですが、出したら勝ちのゲームではないので、そもそも意味がないのです。サッカーでボールを抱きかかえてゴールに走り込む行為。初手で最強カード出したら即アウトってやってもいいしね。 #妄想大富豪の話"
ただし、この発言を以ってこの問題はハイ解決、とは言い難く、依然として「戦略上正しい行いによってゲームがつまらなくなる」可能性が残っています。

まず第一に、ここでは上記の戦略(以下、全出し戦略と呼びます)は「意味がない」と断じられていますが、前述したとおりこの戦略にある程度の意味があることは明らかです。カードが全て出された場合の処理が不明瞭なので細かなことは言えませんが、少なくとも妄想大富豪は脱落者(すなわち負けるプレイヤー)を決めるゲームですので、そこで自分が脱落する可能性を0にできるということは、全出し戦略に「五分五分以上」の利益があることを意味します。

次に、先のpostで示されている「初手で最強カード出したら即アウト」という代案はほとんど意味を成しません。初手で全出し戦略を行わないならばその次以降にそれに極めて近い戦略を行なう権利を依然として有するからです。

 

空気を読んでも

また、参加するプレイヤーが全員空気を読んで全出し戦略を行わなかった場合にも、実は似たような問題が発生しえます。

 

このゲームは脱落者を決めるゲームですので、大きく分けて二つの戦略が存在します。積極的に他人が脱落するように仕向ける「攻撃」か、なるべく脱落しないようにプレイして全員が脱落するのを待つ「防御」かです。

このゲームにおいて「攻撃」とは「他人が覚えにくい数字を宣言すること」だと言え、また防御は「自分が覚えやすい数字を宣言すること」だと言えるでしょう。
そしてこのゲームは「攻撃」よりも「防御」が強いゲームなのです。それは何故か。

 

まず第一に一般論として「他人に覚えにくい数字」というのは、ほとんどの場合「自分にも覚えにくい数字」です。つまりこのゲームにおいて誰かを攻撃すると、自分も攻撃されたのと同等に近いリスクを背負うことになります。
そして第二に、このゲームにおいて「防御」は極めて万能です。ここで妄想大富豪における防御とは何かをよりハッキリさせておくと、それは「最も強いカードを覚えておき、それを宣言すること」です。

(先の記事中では、例えば3、4、5、6、という風に足並みを揃えることが無難なように書かれていますが、それが誤りだという主張を内包します)


このゲーム、例えば序盤のプレイヤーが「3!」「4!」「7!」「10!」などとてんでバラバラの数字を宣言するからといって、そのあたりの数字を闇雲に覚えておくことはあまり役に立ちません。仮に今あなたが「今回のゲーム中、5が一度も出ていないぞ!」ということを覚えていたとしても、自分の前のプレイヤーが「7!」と宣言したならば、あなたは8以上の数字を宣言しなければならないからです。


しかしここで、あなたが「ジョーカーと2は全て出ていて、Aは2枚残っている」ということだけ全力で覚えていたとしたらどうでしょう。直前のプレイヤーがどんな数字を宣言してきても「A!」と悠々宣言し、全員パス(または誰かが2を宣言して脱落!)するのを確認した後で、いくらでも「今まであまり出ていなかった気がする数字」を54枚のカードの中から思い出して宣言することができます。


2からクイーンくらいまで強いカードの出方さえ覚えていれば自分の手番を無難に過ごすことができる。これがこのゲームにおいて防御が万能である理由です。
そして今一度思い出してほしいのですが、このゲームで誰かを攻撃することはリスクになるのでした。するとこのゲームで最も有利な立ち回りは「自分は防御に徹して、誰かが攻撃で自滅するのを待つ」ことだといえるわけです。


うわー、という感じでしょう。一番つまらない戦略を取ったしょっぱい野郎が一番有利になってしまうのです。

※もっと言えば、このつまらない防御戦略のもっとも堅実なバリエーションが、先に挙げた全出し戦略だと言えます

※さらにいえばこの防御戦略は「結局全出しに近いことをすればいいんじゃん」というところを巧妙に無視した産物なので、多少の誤りは多めに見ていただきたいところです

 

で、そんな戦略があるから何だというのか

ーーと、ここまでいかにも妄想大富豪を批判するかのような物言いを続けてきましたが、妄想大富豪というゲームにこのような戦略が存在することは、必ずしもそのゲームの価値を損なわないと考えています。


先のリプレイでは、ある男性がゲーム中「13より上のカードが全て出ていたかどうか」でおおいに悩み、結局不正なパスをして失敗しています。これは先に挙げた防御戦略の観点からいってかなり下手を打っているわけですが、それはそれとして記事中の男性はたいへんに楽しそうです。
要はこのゲーム、「戦略だの何だのと言い出さない限りは超絶楽しいゲーム」だと言えるわけなんですね。野暮なこと言ってんじゃねえよchocoxina、というだけの話なわけです。

 

とはいえ野暮で厄介なchocoxinaはどうしても「ゲームがしらけるリスク」が気になってしまう性分で、じゃあなるべくしらけないような改良案を考えてみよう、というのがこの先の話になります。

 


代案1.チャレンジルール


このゲームが「脱落者を決める」ゲームである限り、全出し戦略や防御戦略のようなしょっぱい手段が有効であり続けるので、すこしルールを加えて「勝者を決める」ゲームに変更してみるのはどうでしょうか。


まず変更点として、存在しないカードをコールしたり、まだ出せるカードがあるのにパスを行なうなどの不正な宣言をしても脱落しないものとします。
そのかわり、自分の順番が回ってきていないプレイヤーは、他のプレイヤーが不正な宣言をしたと思ったらいつでも「ダウト」と言うことができます。


ダウトが行われたらすぐさま答え合わせをし、宣言が不正だった場合はダウトしたプレイヤーの勝利、宣言が不正でなかった場合はダウトしたプレイヤーが脱落してゲーム続行、というわけです。


ただ防御ばかりしていては他のプレイヤーが勝ち抜けてしまうほか、危険な数字を宣言するリスクが若干下がるため防御戦略のメリットが減り、また勝者のみが決まるルールにすることで、全出し戦略は「負けない戦略」であることよりも「勝てない戦略」だという側面が強調されます。

 


2.半妄想ルール


先ほどとは別に、全出し戦略や防御戦略をなるべく簡単なルールの追加で潰すことによって、妄想大富豪本来の楽しさを生かすルールを考えてみます。
まずプレイヤーに、本物のトランプを五枚ずつ程度配ってしまいます。
そのトランプが全てなくなるまで通常の大富豪を行なったあとで、続きを妄想大富豪で行うのです。
序盤に思い通りのカードが出せなくなるために、防御戦略や全出し戦略は極めて行いにくくなるでしょう。

 

 

3.逆大富豪ルール


通常の大富豪は手札を全て出し切ったら勝ちですが、その逆のルールを妄想大富豪に追加します。
つまり、4人プレイなら一人あたり14枚のカードを持っているものと仮定し、一人が14枚目のカードを宣言して(仮想の手札が空になって)しまったらそこで脱落とします。
これにより、一人で何度もカードを出す全出し戦略や、一ターンに少なくとも2枚のカードを出さなければならない防御戦略はかなり不利になるほか、自分が最強のカードを出さなくて済むように立ち回る戦略性が追加されます。

 

終わりに


さて、こうして人様がせっかく考えたゲームに難癖をつけ、テストプレイもしていない代案を賢しらにも提示したわけですが、せっかくなのでこの記事を読んで妄想大富豪に興味を持たれた方はぜひプレイして頂き、ちょっと物足りないなと思った方は上記のバリエーションを試して頂くとよろしいかと思います。

【落ちのない話】相席屋に行ったことがない

一般に、新しいことに挑戦するときは、余計なプライドを捨てるべきだ。

その方が先人のアドバイスなどを素直に受け入れられるし、自分の実力を過大評価して失敗することもない。

何事においても、初めのうちは謙虚であることが成功の秘訣と言えるだろう。

 

さて話は飛んで、俺ことchocoxinaは「相席屋」に行ったことがない。

https://aiseki-ya.com/

相席屋がどういう店かご存知ない方は上のリンクを参考にして頂くとして、まあざっくり言えば来店する男女の相席を斡旋して出会いの場を提供する飲食店である。

長いこと恋人のいないchocoxinaとして、そう無関心ではいられないたぐいの店ではあるのだが、繰り返す通りこの店には行ったことがない。それは何故か。

 

chocoxinaは概して臆病なので、こういう変わった業態の店に行こうかと考えるとき(そう、一度訪店を検討したことがある)には、店のシステムなどをしつこいくらいに調べることにしている。

先の公式サイトには利用方法が詳しく書かれたハウツーが用意されていたのだけれど、それを読み進めるうちに、なんというかこう、打ちひしがれたのだ。

https://aiseki-ya.com/howto/

このページ、最初のうちは特に、繊細なchocoxinaからしてもなんともない内容が続くのだが、引っかかったのがstep4。

タイトルが「お礼も忘れずに」だ。

この項目を読み進めるうちに俺は、ああ、そうか、と思い至る。このような店に行くというのは、店側に「お礼もできない奴」だと思われることなのだなと。

屈辱、という言い方が適切かどうか分からないが、例えるなら男子トイレに行ったときに、小便器の上に「一歩前へ」「トイレは清潔に」などの張り紙に紛れて「ちんちんはちゃんとしまいましょう」と書かれていたみたいな衝撃だった。バカにしてんのか、と喉まで出掛かった(もっと言えば、chocoxinaが最初に確認した当時、あのページはカラテカ入江をイメージキャラクターにしたクソちゃらいもので、よりみじめな気持ちにさせられたものだった)。

 

とはいえ、だ。考え直してみれば事実chocoxinaにはずいぶん長いこと恋人もいないわけで、なにか性格に重大な欠陥がある可能性について真剣に検討しなければならないところだ(性格だけでなく見た目に問題があることも否定しないが)。

そんな自分、それこそ性格に重大な欠陥を抱えていながら、あまつさえその自覚すらない現在の自分は、果たして他人に「挨拶もできない奴」だと思われたときに「バカにしてんのか」などと言い返せるような高尚な人間だろうか? それこそ思い上がりで、新しいことに挑戦するに際しての謙虚さが足りていないのではないか?

ーーいやでも待ってくれ、ただでさえ人様に誇るところのない自分が「人並みに挨拶ができるという人として最低限度の自負」までかなぐり捨てなきゃならないなんて、そんなのあんまりではないか、そんなゴミクズみたいな所まで自己評価を落として、どうやって女性に顔向けしろというのかーー

 

そんなことを考え続けて結局そのときは訪問を諦め、そのまま今日に至る。

果たして自分は謙虚さを欠いたのか、それとも辛うじてゴミクズのような卑屈から踏みとどまったのか。どちらにせよ未来のパートナーに申し訳の立たぬ性格で痛し痒しである。